Label – Self Released
Release – 2017/10/21
四つ墓による1stアルバム。まず幻想短歌や幻想文学の影響を伺わせる精妙で美しい詩世界に目を奪われる。識者曰く塚本邦雄や葛原妙子の影響を受けているとの事で、審美的なモチーフや強く情景を喚起させる力、複雑な言葉と言葉の連なりが幻想短歌的なのだ。その詩世界が美しさと悲しさを内包したヴォーカルによって歌われ、同時にThe Cabs直系の繊細かつノイジーな轟音を表現するギターとマスロック的に複雑な変拍子を刻むタイトなドラムが並走するのだから堪らないし、その詩と音楽が現出させる独創的な耽美世界に心を奪われる。作中で最もシューゲイザーに接近している「羽葬」に感じる感情面でのカタルシスや、「蠕虫舞手」の暗鬱なリフから始まるストレートなマスロック的楽曲展開も素晴らしい。残響レコードと共振しつつシューゲイザーでもあり同時にゴシックでもあるこの音楽を、シューゲイザー・ファンなら一度は耳にするべきではないだろうか。
text by aro
Author
- 大阪を拠点に活動する音楽ライター/歌人/レーベル主宰者。Sleep like a pillowでの執筆や海外アーティストへのインタビューの他、遠泳音楽(=Angelic Post-Shoegaze)レーベル「Siren for Charlotte」を共同オーナーとして運営し、主宰を務める短歌同人「天蓋短歌会」、詩歌同人「偽ドキドキ文芸部」にて活動している。好きなアニメはserial experiments lain、映画監督はタル・ベーラ。