20. Tapeworms – Funtastic
Label – Howlin’ Banana / Cranes Records / TESTCARD RECORDS
Release – 2020/09/25
フランス出身のシューゲイザー・バンド、Tapeworms(テープワームス)の1stアルバム。オリジナル・シューゲイザーへの憧憬を根底に持ちながら、日本のゲーム・ミュージックから影響を受けたチップ・チューン的なサウンドなど、エレクトロニックなアプローチで存在感を示している。歌詞に日本語が飛び出すその名も「Soba」に代表されるように、遊び心に満ちた文字通り「Funtastic」な楽曲たちがインディー・ミュージック好きの琴線をくすぐる秀作。(對馬)
19. 銀杏BOYZ – ねえみんな大好きだよ
Label – 初恋妄℃学園
Release – 2020/10/21
新体制後初、銀杏BOYZによる6年半ぶりの最新アルバム。打ち込みやノイズを多用した前作『光のなかに立っていてね』の予兆を受け継ぐように、シューゲイザーやドリームポップの要素を随所に感じるサウンドが新鮮。今作でプログラミングを担当しているUCARY VALENTINEがトラック制作をした「GOD SAVE THE わーるど」など、The Bilinda Butchersとも呼応するドリームポップ〜エレクトロ・シューゲイザーを鳴らす楽曲も。(對馬)
18. 17歳とベルリンの壁 – Abstract
Label – Seventeen Years Old And Berlin Wall
Release – 2020/08/05
東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、17歳とベルリンの壁の4thミニアルバム。印象的なギターリフやポップなメロディなど、これまで彼らのアイデンティティとして機能してきた要素は受け継ぎながら、シンセサイザーを多用しエレクトロ・シューゲイザーを志向した新境地的作品に仕上がっている。2ndミニアルバム『Reflect』で響かせた轟音は鳴りを潜めているが、より繊細で、構築美すら感じる洗練されたアンサンブルは圧巻。(對馬)
17. Constants – Devotion
Label – Self Released
Release – 2020/05/01
アメリカ・マサチューセッツ州ボストンを拠点に活動するエモ・シューゲイザー・バンド、Constantsの最新アルバム。カバー、リマスター、リミックス、新曲を収めた編集盤。今年のへヴィー・ミュージック×シューゲイザー的なサウンドを展開するアーティストの中でも際立つ内容で、特にSunny Day Real Estateの名盤である『The Rising Tide』収録の「One」のカバーが素晴らしい内容。その直截的な解釈とシューゲイザーの文脈での再構築に撃ち抜かれた。(鴉鷺)
16. bdrmm – Bedroom
Label – Sonic Cathedral / Tugboat Records
Release – 2020/07/03
UK・ハル出身のドリームポップ/シューゲイザー・バンド、bdrmm(ベッドルーム)の1stアルバム。RideやCaptured Tracksのバンド群が持つ清涼感と、4ADを想起させる崇高さが同居し、一枚でオリジナル・シューゲイザーを総括し現代的にアップデートさせたかのような作品に仕上がっている。(對馬)
15. polly – Four For Fourteen
Label – 14HOUSE.
Release – 2020/11/04
宇都宮出身のロック・バンド、pollyの2ndアルバム。これまでのドリームポップ/シューゲイズ・サウンドを軸に、まるで時代の空気感と呼応するかのようにポストパンクやインダストリアル、ノイズ・ミュージックなどの要素を取り入れるなど、新しいアプローチが見られる。嘘偽りなく赤裸々に綴られた言葉がどこまでも美しく、かつてないほどあたたかみを帯びたヴォーカルも印象的な、まさしく会心作と呼ぶにふさわしいアルバム。(對馬)
14. The Bilinda Butchers – Night and Blur
Label – ZOOM LENS
Release – 2020/05/08
アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ出身のドリーム・ポップ/シューゲイザー・バンド、The Bilinda Butchersの最新アルバム。これまでのドリームポップやエレクトロ・シューゲイザーの要素を残しながら、ハウスやクラブ・ミュージック、ドラムンベースといった要素を大胆に導入。M83『Hurry Up, We’re Dreaming』とも呼応する、深夜のドライブのためのプレイリスト的意匠さえ感じるような、自身のイメージを良い意味で塗り替える意欲作。(對馬)
13. Holy Fawn – The Black Moon
Label – Triple Crown Records
Release – 2020/01/17
アメリカ・アリゾナ州出身のブラックゲイズ・バンド、Holy Fawnによる1st EP。ドラマチックな楽曲展開や耽美性と強いアンビエンスを内包したサウンドは2ndアルバム『Death Spells』と比較してもますます研ぎ澄まされ、今年のブラックゲイズの中でも生え抜きの音源となっている。(鴉鷺)
12. 羊文学 – POWERS
Label – F.C.L.S.
Release – 2020/12/09
東京を拠点に活動する3人組オルタナティブ・ロック・バンド、羊文学のメジャーデビュー・アルバム。持ち味である繊細さと力強さを兼ね備えたオルタナ〜USインディー経由のサウンドを貫きつつ、深くリバーブの効いた「mother」「ハロー、ムーン」など、よりシューゲイザーへと深化したサウンドも目立つ。ミニマルなドラムリフのリファレンスとしてDIIVの名を挙げるなど、なかなか確信犯的な部分も胸が熱い。(對馬)
11. Animal Ghosts – Wail
Label – Self Released
Release – 2020/09/04
アメリカ・オレゴン州ポートランドを拠点に活動するCliff Barnesによるシューゲイザー・プロジェクト、Animal Ghostsの最新作。90年代のオリジナル・シューゲイザーを想起させる、リバーブの効いたファジーなギターとウィスパー・ヴォイスが織りなす正統派なサウンドが美しい。シューゲイザーへの入口としても申し分ない内容。ちなみに、今年だけでも本作の他に『Wane』『Will』という2枚のアルバムをリリースしており、その多作ぶりも驚異的。(對馬)
10. Respire – Black Line
Label – Church Road Records
Release – 2020/12/04
カナダ・オンタリオ州トロントを拠点に活動するブラックゲイズ・バンド、Respireの最新アルバム。1stアルバム『Gravity and Grace』から一貫して激情ハードコアとブラックゲイズをクロスオーバーさせた音楽性を展開しているが、今作でより大きく飛躍し、Alcestのようなドラマティックな展開とストリングスの導入によって異次元のアルバムが提示された。(鴉鷺)
9. Slow Pulp – Moveys
Label – Winspear
Release – 2020/10/09
アメリカ・ウィスコンシン州マディソン出身のインディーロック・バンド、Slow Pulpのデビュー・アルバム。インディー・フォーク経由のサウンドをどこかドリーミーな感触でまとめ上げており、着慣れたシャツに袖を通すような心地良さをアルバム全体から感じ取ることができる。随所で歪むギターもツボを押さえている。飾らない日常に溶け込む作品として長く愛聴したい。(對馬)
8. Svalbard – When I Die, Will I Get Better?
Label – Tokyo Jupiter Records
Release – 2020/09/25
UK・ブリストルを拠点に活動する激情ハードコア/ブラックゲイズ・バンド、Svalbardの3rdアルバム。硬質な激情ハードコアから華麗にブラックゲイズへの転身を遂げ、シューゲイザー、ハードコア、ブラックメタルなどの要素が混然一体となった優れた音楽性を提示している。一曲目の「Open Wound」から血がほとばしる。(鴉鷺)
7. I Break Horses – Warning
Label – Bella Union
Release – 2020/05/08
スウェーデン出身のMaria Lindén率いるシューゲイズ・デュオ、I Break Horsesによる6年ぶりの最新アルバム。無機質なドラムと崇高な雰囲気のシンセ・サウンドの上で揺らめくヴォーカルが美しく、ダークかつゴシックな世界を構築している。ゼロ年代以降に発展し今や大きな潮流となった印象のエレクトロ・シューゲイザーだが、今作はその中でも指折りの内容であり、北欧のシューゲイザーを代表する新たな一枚としても避けては通れない。(對馬)
6. BLOOD PICK ME – CODE:001
Label – ROPPONGI KILLS
Release – 2020/05/22
東京を拠点に活動するシューゲイザー・バンド、BLOOD PICK MEによる1st EP。シューゲイザー、インダストリアル、へヴィー・ミュージックが高濃度に溶解した音楽を展開しており、初めて聴いてかなりの衝撃を受けた。精力的にリリースされているこのEP以降のシングルも全て素晴らしい内容。(鴉鷺)
5. Kairon; IRSE! – Polysomn
Label – Svart Records
Release – 2020/09/11
フィンランド出身のプログレッシヴ・ロック/シューゲイザー・バンド、Kairon; IRSE!の最新アルバム。Tame ImparaやTemplesといった現行サイケ勢が持つとろけるような質感とシューゲイザー経由の歪んだギターが高次元で交わる、異色作にして決定盤。プログレ由来の大作志向も特徴で、曲展開の華麗さや煌びやかなアレンジも素晴らしく、退屈な瞬間がない。独自の美学が貫かれた名盤。(對馬)
4. SPOOL – cyan / amber
Label – Spring Records
Release – 2020/12/23
関東を拠点に活動する4人組オルタナティヴ・ロック・バンド、SPOOLの2ndアルバム。ギターを重ねすぎず個々のプレイヤビリティが際立つアンサンブルで魅せる一方、コーラスを重ねることで浮遊感を生み出し、「声楽シューゲイザー」とでも言うべきサウンドを提示。環境音を駆使し、アナログを彷彿とさせる二部構成で没入感を生み出したコンセプト・アルバム的側面も見逃せない。「スーサイド・ガール」から「ghost」の流れは今作のハイライト。(對馬)
3. beabadoobee – Fake It Flowers
Label – Dirty Hit
Release – 2020/10/16
UK・ロンドンを拠点に活動するフィリピン出身のシンガーソングライター、beabadoobee(ビーバドゥービー)の1stアルバム。オルタナ×エモ・シューゲイザーというか、インディーロックの文脈で語られることの多い旧譜と比較するとシューゲイザーに意識的に接近しているのがうかがえる。キャッチーで全編通して素晴らしいエモ・シューゲイザーの名盤。(鴉鷺)
2. Gold Cage – Social Crutch
Label – felte
Release – 2020/03/27
アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身のシューゲイザー/スロウコア・バンド、Gold Cageのデビュー・アルバム。エコーのかかった男女ツインヴォーカル、絶妙に心地良いテンポ感、時折バーストするドリーミーなギターが耽美的な雰囲気をまとった作品。ゆったりとしたドラムとひりつくようなギターで冒頭を飾る「Repeater Kember」はシューゲイザーとスロウコアを黄金比率でクロスオーバーさせた屈指の名曲として語り継がれるべき。(對馬)
Best Shoegaze Album 2020 / 鴉鷺
1. Nothing – The Great Dismal
Label – Relapse Records
Release – 2020/10/30
アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィアを拠点に活動するハードコア/シューゲイズ・バンド、Nothingの4thアルバム。bandcampの文章に「2020年の広大な荒野に直面して、孤立、絶滅、人間の行動といった実存主義的なテーマを探る」とある通り、旧譜と比較しても一際へヴィーかつ過剰で、ゴスとの近似を感じる暗さを抱えたアルバムとして顕れている。2020年のシューゲイザー×へヴィーミュージックを総括する名盤。(鴉鷺)
Best Shoegaze Album 2020 / 對馬拓
1. DoZzz – Passage
Label – 赤瞳音樂/Indie Works
Release – 2020/09/01
台湾出身のシューゲイザー・バンド、DoZzz(ドズ)の初フルレングス作品。肉体をガリガリと削ぎ落とすがごとく展開される鋼鉄のギター・サウンドがとにかく衝撃的。誤解を恐れずに言えば、かのMy Bloody Valentineの復活作『m b v』を長時間煮詰めたようなとてつもない密度と重厚さに目眩を覚える災厄的シューゲイズ・スペクタクル、とでも形容しようか。その分、漂うように響き渡るウィスパー・ヴォイスは心身を癒す精霊のようにさえ感じられる。今年リリースされたシューゲイザーの中で、最も度肝を抜かれた作品。(對馬)
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