Label – UK.PROJECT
Release – 2012/05/09
本作で鮮烈なデビューを飾ったきのこ帝国。
Chapterhouseのアルバム名から取られた「WHIRLPOOL」や言葉遊びのような「Girl meets NUMBER GIRL」など、曲名から連想する直接的な影響は蒼いギター・サウンドの節々に感じることができる。しかし、きのこ帝国は単なる先人たちの模倣では終わらない。唯一無二の透明感を携えた佐藤千亜妃(Vo./G.)の歌声と彼女が紡ぐメロディは、きのこ帝国のオリジナリティを形成するには十分すぎるほどだった。
一般的には「シューゲイズ・サウンドの名盤」と評されることの多いアルバムだが、佐藤本人は「シューゲイザーをやったことは一度もない」といった旨の発言をしている。とは言え、『渦になる』はテン年代におけるシューゲイズ・アルバムのひとつの完成形と言っても過言ではないだろう。8分を越える「足首」の新人離れしたスケールの大きさは圧巻だ。多くのフォロワーを生み、影響を公言するバンドも後を絶たない。
text by osushitabeiko