1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年11月でリリース30周年を迎えた本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を展開中。様々なリスナーを招き、各々が思うシューゲイザーの作品を5枚選出していただく。
【Feature】My Best Shoegaze
Vol.17は、2021年6月に1stフルアルバム『For you, Adroit it but soft』をリリースした揺らぎのMiracoが選ぶ5枚。
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■ Sigur Rós – Valtari(2012)
Label – Parlophone
Release – 2012/05/23
どこまでも繊細で、壊れそうに美しいSigur Rósの一枚。わたしにとってはアンビエントともシューゲイザーとも捉えられる。
このアルバムを少し肌寒い季節、船の上で聴くという甘美な体験をしたことがある(ジャケットにも船が描かれている)。約2時間半の船旅、ひたすらに海を眺めながら。タイトル通り、遠い鼓動が聞こえてくるようだった。
■ Pinkshinyultrablast – Everything Else Matters(2015)
Label – Shelflife / Club AC30
Release – 2015/01/26
後輩に教えてもらったことがきっかけで、大ファンになったロシアのドリーミー・シューゲイザー・バンド。個人的には「ドリーミー」という冠が最も似合うバンドだと思っている。
ヴォーカルのLyubovの声は本当に透き通っていて美しい。そしてギターが無くともシューゲイジングしてしまうのがまた素晴らしいところ。
「Holy Forest」という曲のMVがとてもシュールで好きなので是非観てほしい。
■ Daughter – The Wild Youth EP(2011)
Label – Self Released
Release – 2011/10/02
フォーク・ロックのジャンルに分類される彼女らだが、個人的には耽美で幻想的で、シューゲイザーの一端を担うに相応しい一枚だと思っている。
Daughterを発見した直後は狂ったようにライブ映像を観ていた。歌詞は孤独なのに、どこか暖かい音色が全てを受け入れてくれる様子をはらんでいる。
ちなみにヴォーカルのElena Tonraはわたしの憧れの人。佇まいから発声、声音、つま先からてっぺんまで全てが大好きだ。
■ LSD and the Search for God – LSD and the Search for God(2007)
Label – Mind Expansion
Release – 2007/01/16
もしも「アレ」が合法ならこんな感じになれるのかなと、つい想像しながら聴いてしまうグッド・トリップな一枚。没入感が他の比でないくらい深く感じられるのは何故だろうか。
聴く時のシチュエーションは必ずベッドで。脳みそが沈澱する感覚に襲われるのが何故かお気に入り。
■ My Bloody Valentine – Loveless(1991)
Label – Creation
Release – 1991/11/04
最後は、やはり選ばざるを得なかったこの一枚。
YouTubeで音楽をディグりまくっていた高校1年生、突如流れた「Only Shallow」。新しい表現のカタチを教えてもらった神様の一枚。眩暈に似た感覚、甘くてへヴィーな音像は、言葉に表すには不明瞭な感情や現象が全て詰められていると思う。模倣はせずともやはり師匠的な存在。出会っていなかったら、間違いなく今の揺らぎはなかっただろう。
それから6年後、偶然にも對馬先生と豊洲PITで神様を共に体感したお話はまたの機会に…。
文=Miraco(揺らぎ)
編集=對馬拓
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■ Release
揺らぎ – For you, Adroit it but soft
□ Label – FLAKE SOUNDS
□ Release – 2021/06/30
揺らぎ – For you, Adroit it but soft : Remixes & Rarities
□ Label – FRIENDSHIP.
□ Release – 2022/01/19
https://songwhip.com/yuragi/for-you-adroit-it-but-soft-remixes-and-rarities
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