1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年11月でリリース30周年を迎えた本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を展開中。様々なリスナーを招き、各々が思うシューゲイザーの作品を5枚選出していただく。
【Feature】My Best Shoegaze
Vol.21は、アイドル・グループ yumegiwa last girlの「シューゲイザー担当」であり、ソロ名義“UTERO”としても活動する、夢際りんが選ぶ5枚。
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■ Rosemary Fairweather – Heavenly: A Collection of Songs(2016)
Label – 2670records
Release – 2016/11/16
カナダ・トロントを拠点に活動する、Rosemary Fairweather のデビュー・アルバム。これをきっかけに、2670recordsに出会い、レーベルごとに掘っていくということを知った気がします。2670recordsが出しているものは大体好きなのですが、特に好きな一枚です。中でも、透明感のあるヴォーカル、リズム、音色、全てが心地良い、M3「Chemicals」がお気に入り。目を閉じると、真っ白な世界にやわらかな光がふわふわ浮いている景色が浮かんできて、脳が幸せになります。今のところ人生で聴いた曲TOP3に確実に入っているし、きっと、死ぬまでそうだと思います。
■ Parannoul (파란노을) – To See the Next Part of the Dream(2021)
Label – Self Released / Longinus Recordings
Release – 2021/02/23
ここ数年で一番、“出会ってしまった感”の強かった一枚。ぼーっとタイムラインを眺めていたら流れてきて、一気に虜になりました。音楽の中には、ワンフレーズを聴いた瞬間に引き込まれる音楽と、聴いていくうちに心地良くなるスルメ系音楽とがあると思っているのですが、これはそのどちらも併せ持った、間違いなく最高の音楽です。「何聴いてるの?」「リリィ・シュシュ。」という冒頭のほんの数秒で、刺さるべき層を的確に刺しに行ってる感じ、本当にずるい。生っぽいバンド・サウンドを、一人でここまで作り込めるのかと、今後の自分にとっての希望にもなりました。そして、この場を借りて……Sleep like a pillowさんのインタビュー記事とても良かったです、ありがとうございます。
■ 溶けない名前 – おしえてV感覚(2017)
Label – soda room records
Release – 2017/10/04
1980年代の歌謡曲とシューゲイザーをミックスした“歌謡シューゲイザー”を掲げる名古屋のバンド。「幽霊少女は八月を殺す」が一番好きです。記憶が定かではないのですが、リリースのよりもだいぶ早い段階でこの曲はSoundCloudに公開されていたはずで、2015年前後のSoundClooudに住んでいた時代を彩ってくれました。ツイン・ヴォーカルでのオクターブハモリが完全に自分の性癖なのだと気づいてしまったわけです。溶けない名前、root13.、uremaあたりが好きな人間とは無言で一日過ごせる気がします。
■ スーパーカー – スリーアウトチェンジ(1998)
Label – エピックレコードジャパン
Release – 1998/04/01
私が初めて聴いた高校生の頃には既に解散していたので、彼らがどのくらい有名だったのか、メディアに出ていたのか、ということを実は全く知らなくて、只々、かっこいい音楽として自分の中に君臨し続けています。シューゲイザーという認識を持って聴いたこともないのですが(日本のシューゲイザーと呼ばれるものって、なんだか独特じゃないですか?)、そこに分類されているようなので、選ばない手はないと思って、選ばせていただきました。音楽も、音作りも、歌詞も、空気感も、全てが好きです。
■ My Bloody Valentine – Loveless(1991)
Label – Creation
Release – 1991/11/04
色々な観点から5枚を選ぼうと思っていたのですが、御三家からどれを選ぶのか、はたまたThe Jesus and Mary Chainにするのかなど、この一枠が一番悩みました。「シューゲイザーって何?」と聞かれたときに、とりあえずこれを聴け、と流したくなる、シューゲイザーの代名詞的存在だと思っています。甘く包まれるような温もりと同時に、この感覚が永遠には続かないことを教え込まれるような儚さがある気がしていて…。酔っている時にも似た、ふわふわした感覚が得られる麻薬みたいな音楽です。2018年の来日時にはライブに行くことができたのですが、私的にはあれよりも轟音で聴きたいです、音に包まれたい。
文=夢際りん(yumegiwa last girl)
編集=對馬拓
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■ Release
UTERO – 眠れぬ夜の君のため(EP)
□ Label – Self Released
□ Release – 2022/03/09
■ Information
new you Vol.1(ZINE)
特集:揺らぎ / 2022年上半期ベスト・シューゲイザー
*上半期ベストとして、UTERO『眠れぬ夜の君のため』のレビューを掲載(執筆:内山結愛)。
*Sleep like a pillowのWebストア『枕眠堂』の他、ディスクユニオン等の店舗、各種レーベル・ストア、ディストロにて販売中
■ Profile
夢際りん(ゆめぎわ・りん)
yumegiwa last girlのメンバーとして2020年に活動を開始。エフェクターなどを用いたソロ活動としてUTEROの名義でも活動し、EP『眠れぬ夜の君のため』をリリース。3月に開催された本人の誕生祭ではソロステージを行なった。北海道出身。