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1991年にリリースされ、シューゲイザーの金字塔を打ち立てたMy Bloody Valentineの2ndアルバム『Loveless』。2021年で30周年を迎える本作を記念し、弊メディアでは「My Best Shoegaze」と題した特集記事を不定期で連載する。SNS上の音楽フリークやライター、さらにはアーティストに至るまで、様々なシューゲイズ・リスナーに各々の思い入れの強い作品を紹介していただく。
Vol.4は、CattleやViDEO Xのメンバーとして活動しながら、TESTCARD RECORDSのオーナーの顔も持つ、ヒヌマナオヤの5枚。
■ mash – 水の味(2003)
Label – ten strings records
Release – 2003/02/15
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僕がCattleを始めて一番最初に出演したライブハウスは池袋手刀。以前活動していたバンドでもお世話になったブッカーである後藤さんの「mash好きですか?」という言葉がずーっと頭にある。後藤さんは、mashが大好きな僕に対バンする機会を作ってくれた。それは奇しくも、恒例になってしまった僕の誕生日イベントで毎年一回は必ず共演するまでになり、誕生日プレゼントとして名曲「Drive」の轟音サウンドを浴びてはいつも嬉し泣きしてたっけ。「mash好きですか?」と聞かれたら、「大好きです」とこれからも声を大にして言いたい。
■ broken little sister – memories, violet & demons(2010)
Label – Happy Prince
Release – 2010/11/17
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高円寺HIGHのシューゲイザー・シーンにおいて、どのバンドよりもクールな佇まいで一見話しかけにくそうだったブロークン先輩(僕の中で勝手に呼んでます)。今となっては一緒に台湾ツアーへ行ったり、レコ発に出演していただいたりと、数々のライブを間近で観てきた。こんなにも国内外問わず評価の高いパフォーマンスをするバンドは他にいない。これは絶対断言できる。今作は当時流行したエレクトロ・シューゲイザーのイメージが強いかもしれないけれど、ライヴではアンサンブルが非常に緻密に練られた轟音が堪能できる。あー、早くまたライブが観たい!
■ ZEPPET STORE – Swing, Slide, Sandpit(1994)
Label – Under Flower Records
Release – 1994/06/21
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ZEPPET STOREはシューゲイザー・バンドじゃないけれど、今作はシューゲイザーとしても歴史的名作なので是非聴いてほしい。ギター・ロックの中に散りばめられた、シューゲイザー特有の技法を用いたギター・サウンドの数々。マイブラっぽさもあるし、Rideっぽさもあるし、4AD直系の耽美さもあるし、要はもう最高っ! 1994年当時のオルタナティヴ・ロックとしては最先端のサウンドを鳴らしていたと思うと心底憧れる。ギタリストの五味さんにはCattleをプロデュースしていただいて、改めて考えると超ヤバい(当時は生意気だったし本当ヤバいな…ハハ)。
■ burrrn – Blaze Down His Way Like the Space Show(2011)
Label – RRR RECORDS
Release – 2011/03/30
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burrrnの事みんな忘れてない? 2011年に、たった一枚の素晴らしいアルバムを残して今はもう活動してないのだけれど、日本のシューゲイザーをオススメする機会があれば、絶対に紹介したい作品の一つ。僕はLilys『In the Presence of Nothing』が大好きで、この『Blaze Down His Way Like the Space Show』はそれに近い虚無感がある。特に「Picture Story Show」は国宝レベル級の大大大名曲。可能であれば国のお偉い方々にも聴いてもらいたいくらいだ。
■ Cattle – Somehow hear songs.(2015)
Label – ZERO COOL
Release – 2015/07/17
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ここだけの話、僕はCattleというバンドでギターを弾いていて、TESTCARD RECORDSというレーベルでシューゲイザーな作品などをリリースしているのですが、こうやって音楽活動を続けられているのもシューゲイザーと出会ったからであって、親しい仲間くらいは大切にしたいと思っている訳です。そんなこともあって日本のシューゲイザーには思い入れが強く、ここで紹介しきれない素晴らしいバンドや作品がまだまだたくさんあります。ただ、自分の作品をオススメして大変恐縮ですが、これめちゃくちゃ良くないすか!? 聴いてみー。
* * *
文=ヒヌマナオヤ(TESTCARD RECORDS / Cattle / ViDEO X)
編集=對馬拓
Release
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■ HIJOSEN – 発露
Label – TESTCARD RECORDS
Release – 2021/06/02
Artwork:Akihide Monna(Bo Ningen)
Master:Soushi Mizuno(Qujaku)
Author
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