Posted on: 2025年3月26日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

ポスト・シューゲイズ・ユニット、零度poolがEP『Pale Pagan』を自主レーベルのLade Pool Recordsからリリースした。

零度poolは、多数の文学賞の受賞歴を持つ歌人/詩人であり、ネオンネウロンや放電加工少女など複数の名義で旺盛な活動を続ける木田昨年と、ゴシック/耽美的人形作家であるeerie-eeryの別名義であるlj∮Åによるポスト・シューゲイズ・ユニット。自主レーベルのLade Pool Recordsは、主に木田昨年、lj∮Åによる作品をリリースすること、そして創作における自発性、楽しさ、美しさ、自由を前提として設立された。

『Pale Pagan』は、“無政府状態ポスト・シューゲイザー”という零度poolのコンセプトに沿った、零度poolのアイコンでもあるレイドちゃん、彼女の“家出”をナラティブとして据え置きながら、人が誰しも抱える“拭えない孤独感”について描き出した作品である。「本当の孤独から発される声や音は、いつだって誰かを呼ぶためにあるものだと僕は思います」と木田昨年が述べるように。

■ Concept

今作もまた、レイドちゃんの物語を中核に据えた音楽になります。

レイドちゃんは家出します。
彼女は何故家出をしたのか、退屈なのか、倦怠なのか、問題から遠ざかっているのか、遠くへ行きたいのか、知らない土地を見てみたいのか、その遠さは、何を意味しているのだろうか。
もしくは、あらかじめ決められた出生への、環境や、彼女の名前に付いての必然性、子どもだけに科せられる、運命に似ているが運命ではない、重りのようなものから、遠く逃れる軽やかな逃避行なのでしょうか。

軽やかさ、
それはまさに木田昨年とlj∮Åの音楽、零度poolに遍在するもので、
遠さ、
遠くへ行きたいこと、それもまたそうで、(ポスト)シューゲイズでもあるでしょう。

この作品を、レイドちゃんの逃亡劇の音楽を、是非お聴き下さい。

■ Statement

呼ぶ声がする、何処かで。
ひかりのような、くぐもった美しい呻きのような、囁き声の私性の、響きとナラティヴを持った、優しく感情が溢れる、大きな叫びのような、小さく綺麗な声が。

知らない土地を夢見ながら歩くような、揺れ動きつつあいまいに想念がゆれることに似たアンビエンス、リズム、そこに浮かぶしずかな、だが昏い想念。
家出というのはある意味で、逃走劇である。痛みから、環境から、沈む日常から。

そして、他の何から?

恐らく自分の生年や、生まれてそこにいること、そこが既に決定されていることの変えられないことから。自分を抱えて自分が決定せずに決定されたことから、決定されたものの美的感覚との不和から。
そして、ひとは自らの名のように、そのようなものを愛し、戸惑い、触れ、それらからすこし離れたり、完全に逃げてしまうことが家出の本質だろう。
また帰るかもしれず、もう帰らないかもしれない。
その戸惑い愛しつつ、触れながら優しく撫で、離れながら想うような、家出という事象。
そして、レイドちゃんのパーソナルな響きと、語り掛ける木田昨年、歌うlj∮Å

この音楽はレイドちゃんの家出についての劇であり、音楽である。
であるから、木田昨年とlj∮Åの「私」の姿から発露するものがある。
彼女、彼は何から逃げたかったのだろうか。
そして彼女、彼が今いるところは、綺麗な土地で、音楽と言葉に溢れたところであるが、彼女、彼らはどこから来たのか、そして、運命的な非決定の出生の、自分のままで居る為の物語はどのような終りを辿るのか。

この音楽を、無政府状態的な、レイドちゃんの家出についての新しい音楽を是非お聴き下さい。

■ Release

零度pool – Pale Pagan

□ レーベル:Lade Pool Records
□ 品番:Ladepool:0003
□ 仕様:Digital
□ 価格:¥600
□ リリース:2025/03/24

□ トラックリスト:
1. Parasite city
2. Parasol skirt
3. Pale Pagan
4. Paranoid orgel
5. PC tells you to die.

*Bandcamp:
https://ladepool0.bandcamp.com/album/pale-pagan

*配信リンク:
https://linkco.re/2rbD8dh8

■ Profile