Posted on: 2025年1月22日 Posted by: Sleep like a pillow Comments: 0

カートゥーン・シューゲイズ・ユニット、The OtalsがEP『The 100 Things』を2025年2月12日(水)にリリースする。これに先駆け、デジタル・シングル「ムテキノユウエンチ」をリリースした。

『The 100 Things』は、実に3年の活動を経て初のライブにしてワンマン『To The (Blue) Moon And Back』の直後、2024年8月に制作を開始し9月上旬には全楽曲が完成したという、初ライブの勢いをそのままに詰め込んだ7曲入りのEP。フィジカル版(CD)には、8曲目として「イヴとアリス」を追加で収録している。

前作『Destroy My Memory』は、エレクトロとJ-POPをテーマに『セカイ系』の物語を描くというドラマチックでスケールの大きい作品だったが、今作はバンド・サウンドを中心に据えたシンプルな楽曲とアレンジが目立つ、ある種The Otalsの原点回帰と捉えることができるかもしれない。

一方、冒頭に収録された「ムテキノユウエンチ」は、攻撃的なベース・ラインと歪み切ったヴォーカルによるダーティーなサウンドと、曲中で突然リズムとメロディーが急加速するカオティックなナンバー。歌詞も破滅的なカジノでの一夜を描いた暴力的なもので、既存のThe Otalsのイメージとは大きく異なる挑戦的な新機軸。さらに、ドラゴン少女との友情を描く「ドラゴンなんだって」や、離散した家族への気持ちを娘の視点から描いた(と考察されている)「ウチは泣きそーです」、停滞した雰囲気が充満した車中でのやり取りを描いた「このまま、海まで」など、これまでのThe Otalsのイメージであった“甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガール”的な物語からは少し距離を取り、よりバラエティに富んだ色遣いが見られるバンドの世界観を外側に押し広げた楽曲が中心となったEPと捉えることもできる。

サウンド面もシンプルになり、前作までよりファズ・ギターやドラムの存在感が強く、よりフィジカルなイメージが強調されている。エイト・ビートとパワー・コードというあまりにシンプルなアレンジが、彼らのルーツであるインディー・ポップやゼロ年代のオルタナティヴと紐づいていることは想像に難くないが、ポップ・ソングの方法論が一般化し、コードやリズムが複雑化し続けている現代において、対局をなす無骨なアレンジはむしろ新鮮だ。それでいて感情に身を委ねるような激しいものではなく、ある種の穏やかさや少し冷めた青年の視点を持ったThe Otalsらしいカラフルな物語が宝物のように詰め込まれた、“懐かしくも新しい”1枚。

■ Release

The Otals – The 100 Things

□ レーベル:Blue Moon Garage
□ 仕様:Digital / CD
□ 価格(CD):¥2,200(税込)
□ リリース:2025/02/12

□ トラックリスト:
1. ムテキノユウエンチ
2. ドラゴンなんだって
3. ウチは泣きそーです
4. このまま、海まで
5. 秋を急かす100のこと
6. リズのきもち
7. 電気軌道よ春を行け
8. アリスとイヴ(*CD Only)

*先行シングル「ムテキノユウエンチ」配信リンク:
https://theotals.lnk.to/Mutekinoyuenchi

■ Event

ワンマンライブ「The Dizzy Heart」

2025/02/28(金)
@東京・新代田FEVER

開場 18:30 /開演 19:00
*sold out

■ Profile

The Otals

June FAXxxxxxとMarina Timerの従兄妹2人によるシューゲイザー・デュオ。2021年3月にEP『The Night Swallows』を無料公開しデビューを飾った。インディー・ポップに接近した甘いメロディと『Pet Sounds』的なコーラス・ワークを持ち味としている。アメリカン・カートゥーンをイメージさせるアートワークも相まって、既存のシューゲイザー・シーンでは類を見ない独自路線を突き進む、自称“世界一とっつきやすいシューゲイザー”。

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